naoi.com

think

家を建てるには?メーカー・工務店・建築家…何処に頼めばいいか悩んでしまいますね。ほんの1つの道標をご紹介します。

3.環境に沿うかたち

私には、設計を進める際に、大仰な不変的な建築テーマがあるわけではありません。また、造形的な形の操作にも余り興味がありません。ただ、与えられた環境(自然・土地・周囲・家族・予算もかな)を解きほぐし、その相互関係にあまり無理なく沿うかたちを求めたいなと常に考えています。

いうまでもなく、「環境」は優しさと厳しさの両面を併せ持っています。そして、これらは人の五感を通して様々に感じるものです。暑い・寒い、明るい・暗い、広い・狭い・・・他にも、柔らかい・硬い、熱い・冷たい、等々。
住まいの中に優しさのみを取り入れ、厳しさは全く排除することが出来ればそれは理想でしょうが、残念ながら不可能なことです。それに、両方の感覚があるからこそ、それぞれの良さを際立たせることが出来るのでしょう。ほのかな灯りは、その廻りが暗いからこそ存在が活きてくるのです。
できれば、住まいはそのような様々な「環境」を、少しの不便さと背中合わせになりながらも、直接に感じられる場所であって欲しいと考えています。
夏の暑さには、日陰をつくり風を抜いてそれを和らげ、冬の寒さには、なるべく部屋の奥まで日差しを入れてあげる。手でさわり、足で触れる部分には自然な素材を用いる。
具体化すればどれも平凡なことかもしれませんが、そこに真摯な設計姿勢を感じることは最近稀のような気もします。

どんな都心の住宅密集地であったとしても、そこに住むであろう家族も含めて、そこにしかない唯一無二の「環境」があります。それを読み解き、設計の手がかりとすること。
時間や手間は少しかかりますが、これを継続していきます。

4.木の持つ可能性

住宅には、なるべく木を使いたいと考えています。もう当たり前のことですが、木は唯一再生可能な資源です。化石エネルギーもセメントもいつかなくなってしまいます。地上50階建てのビルや、何万m2もの施設ならば、構造強度、防火・耐火構造の関係で、鉄骨やコンクリートを使用することは仕方のないことですが、せいぜい5・60坪くらいまでの住宅の場合、そういった観点でみる限り、鉄やコンクリートのお世話になる必要はまったくありません。建築には適正構造なるものがあると考えています。もちろん木の持つやさしさ、やわらかさが、人の住む環境にふさわしいということは言うに及ばず、です。

木は手入れをすれば長持ちします。でも必ず古びていきます。それは生命あるもの全ての宿命でしょう。「古びる」ことを何故か恐れる傾向がありますが、大事に手入れをしていくことで、「古びる」ことは「馴染む」事へ繋がります。古びた住まいに、家族と共に過ごした時間を物語る、様々な痕跡を認めることが出来れば、それこそ家族と住まいが十分に馴染んでいる、相互のふさわしい「在り方」といえるのではないでしょうか。
そして、だからこそ、いつまでも馴染むことのできない「まがいもの」は、素材としては使いたくないのです。
ただ、残念なことに、殊、住宅に関して言えば、日本社会では「古びた」ものの価値を認めるという流れにはなかなかなってくれません。
資産価値という考え方は、とても大事なことです。大事に使ったものが、大切にしてきたものが、そのかけた愛情の大きさに応じて高く評価される、そんな社会にしたいなと思います。

私は山が大好きで、今でも家族とともによく山に入ります。冬の少し寒い雑木林にも、初夏の神々しいまでの緑濃きブナ林にも、それぞれ同じ生命体としての、呼吸をする者同士の、不思議な一体感を得ることができます。同じような感覚を、もし住まいからも感じ取ることができたならばとても幸せなことです。